“ちょうどいい”大人のおしゃれとは 〜前編〜

40代に突入したばかりの私が大人のおしゃれについて学ぶコラム。今回は、今まで書いてきたコラムの総まとめを、2回に分けて小森さんと一緒にお話していきます。

“ちょうどいい”大人のおしゃれとは、一体何だったのでしょう・・・。

今までいろんな人に取材をしてきて、どんなことを感じましたか?

私は、仕事でもプライベートでも年上の人と付き合うことの方が多いんです。若く見えて、おしゃれでキレイな人たちばかりで、おしゃべりするのも楽しくて、全然年齢差も感じていなかったので、「ファッションも差がないだろう」って思っていたんです。でも、実際に取材をしてみて、実は大きな溝があるな。私はまだ知らない領域があるなって気がつきました。

へ〜。それは、どんなところですか?

まずは、「TPOに合わせて服を変える」人が多いというところですね。私は「場所に合わせて服を変える」のは堅苦しいって、思っていたんです。でも、私が素敵だな~って思う大人の女性はみなさん、場所やシーンに合わせて服を分けている。特別なシーンで特別な服を着るのを楽しんでいるんです。それって、大人の余裕だな・・・って思いました。

大木さんも自由が好きで今の職業を選んでいると思うので、よけいに堅苦しいイメージはあったのかもしれないですね。私も、若い頃は別にいつでも同じ服でよかったんですよ。でも、子どもが手離れする頃から、変わってきました。

え!子ども、関係あるんですか。

私の場合、今まではいつも一緒だった子どもが自分から離れて行ったとき、自分をフォローしてくれる額縁のようなものが外れた感覚になったんです。その頃から、何を基準にしておしゃれを考えたらいいのかが分からなくなりました。すごく不安になったんです。

そっかぁ・・・そこをまだ、私は想像できない。まだ1歳児がいるし、その先のことが想像できていないですね。小森さんが、その感覚になったのはおいくつぐらいの時でしたか?

40代後半ぐらい。一番下の子が、中学校卒業するぐらいですかね。ポツンとひとりぼっちになってしまった感覚がありました。

そっかぁ~・・・私、体型の変化はしてるけど、ファッション迷子になるのはまだまだこれからですかね。

はい。ぜんぜんレベルが違いますよ(笑)。変化は、その後にも起こります。女性には更年期障害がありますよね。更年期障害のまっただ中は、折り合いをつけるのに一生懸命。気持ちが定まらなくて、オシャレがうまくいかないって思うこともありますが、これが終わればまた次の変化が訪れます。

まだ変化するんですか(汗)。

今の私がそうなんですけど、更年期障害を超えると皮膚の感覚が変わってくるんです。「暑い」や「寒い」のコントロールが皮膚でちゃんとできなくなるんですね。一日のなかで、何度も服を着たり脱いだりするようになるんです。

だから、気持ちがよい素材を身に付けたくなる。蒸し暑いならサラッとしたリネンを着たくなる、雨が降ったら寒いから肌にしとっと柔らかく着いてくれる木綿のガーゼが着たくなったり。外を見て、服選びをするようになってくるんです。「風で葉っぱが揺れてるから、今日はこのお洋服かな」とか、「桜の木に新緑がまぶしく照っているから、今日はこれかな」とか・・・。ひとくくりの季節ではなく、もっともっと細かいところに自分が合わせたくなってくるんですね。

感覚が繊細になるってことですね。

そうです。ビジュアルだけで楽しめていたものが、体感覚にフォーカスしていくんです。季節って、四季だけではなく、もっと細かく区切った「二十四節気」ってあるじゃないですか。今の私は、二十四節気に対してファッションを変えているみたい。自分をよく観察していると、2週間区切りぐらいでマイブームが変わっているみたいなんです。

へ~~!おもしろい!年齢を重ねていっても、まだまだあたらしい発見が次々出てくるのって楽しいですね。

若い頃は「ウール素材はチクチクする」という感覚が、いまいち分からなかったんです。でも皮膚感覚が変わってきてから、「なるほど」って思いました。

若者って、素材がよくなくても可愛ければ着れるんですよね。でも、大人になるとそれができなくなる・・・。それは、デザインの問題ではなく、素材に敏感になるからなんだ。なんだか納得です。

同じ風でも、北風と南風では全然違う。ひんやりさわやかな北風と、むっとする南風。そんな、細かいことが分かっていったら楽しくなってきますよ。

なるほど!小森さんのお話を聴いていると、大人になって繊細なところに目がいくのって、なんだか素敵なことなんだなぁって感じます。自分の体の変化と、自然の細やかな変化。それを自分の感覚ですり合わせていけるって、なんだか本物の大人という感じ。体が喜ぶものをセレクトできる大人になりたいなぁ。

次回へつづく

PS
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